石巻市の東側に雄勝という地域があります。

2005年までは雄勝町という独立した町でしたが、平成の大合併で石巻市と一つになり、石巻市の一部になりました。

硯の町として有名で、雄勝石から作られる硯は室町時代から600年の歴史があります。宮城県の学校を出た人なら、必ず伝統工芸品として習っています。

震災で大きな被害を受けた地域ですが、雄勝硯はまだまだ健在で、それ以外にも見所があります。そんな雄勝を訪問してきましたのでレポートします。

雄勝地域に行くには2つの方法があります。石巻市内から女川を抜けて国道398号線で向かう方法と、北上川沿いを走って北側からアクセスする方法です。

女川を経由する国道398号線はリアス式海岸の海沿いに作られた道です。このため、カーブが多く、距離の割に意外と時間がかかります。女川と雄勝をまとめて回るならこちらのルートが良いでしょう。

北上川沿いの道は、三陸道の河北ICで降りればあとはほとんど川沿いをまっすぐ進み、河口近くで南下するだけで雄勝地区に着けます。雄勝地区だけが目標ならこちらのルートを使う事をおすすめします。

もう一つ、石巻の稲井地区から雄勝に抜ける県道192号線という道もあるのですが、2021年現在は道路の改良工事を行っており、通れません。宮城県のサイトによれば間もなく開通する予定なので、海沿いを避けたい方はこの道でも良いでしょう。

入場料無料のローズファクトリィガーデン

雄勝地域の観光地で有名なのは、地元有志の方が運営している「雄勝ローズファクトリィガーデン」でしょう。雄勝湾の一番奥、国道398号線の山側に少し入った場所にあります。名前の通り色とりどりの薔薇が咲く薔薇園ですが、私が訪問したのはほとんど冬だったため、咲いている花はごくわずかでした。

寒い季節だとあまり花は咲いていません

暖かい季節なら一面に薔薇が咲く綺麗な場所なので、是非一度訪問してみてください。入場料は何と無料です。

寒い時期でも咲いている小さな花

また、薔薇を見られるだけでなく、無料のコンサートが開催されていたり、押し花やハーバリウムの制作体験教室(こちらは有料で要予約です。予約は090-9037-4593までお電話ください)、震災の語り部ガイドなども行っています。

鐘のオブジェと薔薇の花

このガーデンで育った自家製のハーブとベリーを使った飲み物が楽しめるカフェ、コリンクハウスもありますので、是非立ち寄ってみてください。

ローズファクトリィガーデンから国道398号線を挟んで反対側に進むと、雄勝硯伝統産業会館があります。

雄勝硯伝統産業館の外観

冒頭で紹介した雄勝硯について学んだり、雄勝石で作った工芸品を購入したりできる施設です。

雄勝石は硯以外にも使われていて、有名なところでは東京駅の屋根瓦に使われています。その他では綺麗な石肌を生かしたお皿としても使われていて、この会館では色々な種類のお皿、箸置き、コースターなどを購入できます。

雄勝石を使ったお皿

私が訪問したときは置いていなかったのですが、珍しいところだと石のマウスパッドなんていうものもあります。

有料の展示室ではもっと深く雄勝硯を学べますので、興味のある方は是非入ってみてください。

有料の展示室もあります

また、この施設に隣接して「おがつ海産物直売所」があります。

雄勝硯伝統産業館の奥にある直売所

雄勝は硯以外にも豊富な海産物が取れる場所で、この直売所では近海で取れた海の幸を購入できます。

珍しいものもたくさん置いていますので、是非一周見てみてください。

直売所内部の様子

更に奥にはカフェや食堂があります。また、施設自体が新しいため、お手洗いもとても綺麗です。雄勝地区にはコンビニエンスストアがありませんので、お子さまと一緒に回る時はここでお手洗いを済ませておくと良いでしょう。

カフェや食堂も併設されています

この雄勝硯伝統産業館は海沿いのとても高い場所に建てられています。ただ高い土地になっているわけではなく、この場所は雄勝地区を津波から守るために作られた巨大防潮堤でもあります。

伝統産業館の前はテラスになっていて海を見渡せるのですが、そのテラスの突端がそのまま堤防になっているのです。

雄勝硯伝統産業館は大きな堤防の上に建っています

階段が付いていて堤防の下にも降りられますので、お時間があるなら是非一度下まで降りてみてください。雄勝地区を襲った津波がどれだけすごかったのか体感できます。

写真に写っているのは子ども用ではなく大型バイクです

あまり知られていませんが、雄勝地区の小さな漁港はまだまだ震災からの復興作業が続いています。雄勝硯伝統産業館からすこし進んだあたりの道はまだ砂利道で工事が続いていますし、雄勝半島の北側は一部震災後手つかずの場所もあるくらいです。

復興にはまだまだあなたの力が必要です。もし少しでも復興に力を貸して頂けるなら、石巻エリアファンクラブに入会して頂けませんか。

この会は石巻地域を支えて頂くだけでなく、お礼もさせて頂きます。地元でしか手に入らない訳あり海産物を格安でお譲りしたり、地域の人しか知らない情報をお伝えしたり、地域の人でも滅多に入れない自衛隊の基地に特別招待したり。

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