ぶらぶらいしのまき

海も山も川も街もすべてがそろう石巻。ビギナーでも通でも楽しめる、ちょっとユニークな旅をご提案

vol.01

2015.11.27

石巻の海に圧倒された先人たちの心を訪ねる ~日和山ひよりやま公園~

JR石巻駅から
徒歩20分程度で到着できる日和山公園は、
標高約60mの小高い丘。

山頂には大鳥居と神社があり、
南に太平洋、北東に旧北上川と石巻の街を一望します。

日和山のシンボル、大鳥居

日和山のシンボル、大鳥居

2011年3月に起きた東日本大震災では、
多くの市民がこの山に避難。
恐怖と絶望の中、家族や友人の無事を祈りながら、
眼下に迫りくる大津波を
ただ、固唾をのんで見つめるしかなかった場所でもあります。

多くの市民がこの階段を駆け上がり、避難しました

多くの市民がこの階段を駆け上がり、避難しました

日和山にある案内板には、あの日の人々の様子が

日和山にある案内板には、あの日の人々の様子が

しかし元来、
ここは船乗りが天候を予測するために利用した山。

眼下に望む見事な眺望が、
人の心をつかんで離さない場所でした。

敷地内には
錚々たる文学者たちが
ここから眺める景色の美しさに
心奪われた様子を知る
句や歌碑があります。

 

天才少年たちも感動した
石巻の海

まずは、明治35年5月28日、
盛岡中学校5年生だった石川啄木が
修学旅行で来た時に詠んだ一首。

「砕けては またかへしくる大波の
ゆくらゆくらに胸おどる洋」

広大な太平洋を目の当たりにした少年の
ドキドキ、ワクワク感が伝わってきます。

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そのちょうど10年後にあたる
明治45年5月27日には、
これまた修学旅行で
推定15歳の宮沢賢治がやってきました。

解説には、
「石巻の日和山から
生まれて初めて海を見て強く感動した」と
書いてあります。

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「われらひとしく丘に立ち
青ぐろくしてぶちうてる
あやしきもののひろがりを
東はてなくのぞみけり
そは巨いなる鹽の水
海とはおのもさとれども
傳へてききしそのものと
あまりにたがふここちして
ただうつつなるうすれ日に
そのわだつみの潮騒の
うろこの國の波がしら
きほひ寄するをのぞみゐたり」

さすがは天才文学者たち。
この表現力、
とてもティーンエイジャーとは思えませんね。

 

大河が太平洋に流れ込む
ダイナミックな眺望にウットリ

『わたつみに
北上川の入るさまの
ゆたけきを見てわが飽かなくに』

こちらは昭和6年(1931)、49歳の時に
妻と石巻を訪れた齋藤茂吉が詠んだ一首。

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北上川が
海に流れ込む雄大な様は、
いつまで眺めていても飽きないと
絶賛しています。

手前が川、橋の向こうに広がるのが太平洋

手前が川、橋の向こうに広がるのが太平洋

さらに、齋藤茂吉と同じ時代を生きた
国文学と民俗学の大家、
折口信夫(おりぐち・しのぶ)が詠んだのは、
海上に浮かぶ島影の美しさでした。

『海のおも
いよいよ青しこのゆふべ
田しろあじしま
かさなりてみゆ』

この句にある「田しろあじしま」とは、
石巻の離島、
田代島と網地島のことです。

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釈超空(しゃく・ちょうくう)とは折口信夫の歌人名

釈超空(しゃく・ちょうくう)とは折口信夫の歌人名

碑の辺りから海上を望むとたしかにうっすら、島の影が重なって見えます

碑の辺りから海上を望むとたしかにうっすら、島の影が重なって見えます

 

「誰も泊めてくれなかった」で
物議を醸す松尾芭蕉

最後はこの方、
『おくのほそ道』でおなじみ
松尾芭蕉さん。

日和山には弟子の「曽良(そら)」を伴った銅像が

日和山には弟子の「曽良(そら)」を伴った銅像が

金色堂で有名な平泉に行く途中、
石巻にも立ち寄ったとされる
芭蕉さまと弟子の曽良。

湾には多くの船が行き交い、
家々からは竈(かまど)の煙が立ち上り……と、
当時の石巻の繁栄ぶりを
感嘆した様子で
日記に残してくれています。

しかし一部、
「一夜の宿をかりたいと思ったが、
なかなか泊めてくれなかった」
という意味の
気になる記述も。

これが今でも石巻人の心に
火をつけてしまいます。

「徳川幕府に対抗する
伊達政宗の命令で
よそ者を泊めることができなかっただけだ」

とか

「本当は泊めてもらったのに
芭蕉が面白がってそう書いただけ」
(※事実、弟子の曽良が書いた
『曽良日記』には
石巻でもちゃんと泊まったことが
記されています)

などなど。

さまざまな憶測をして
論じ合うのも、
歴史好きのひとつの
お楽しみとなっています。

もちろん真偽は、
謎のまま。

いずれにしても、
古くから多くの旅人が絶賛する
日和山からの眺望。

ぜひあなたもその目で
確かめにきてください。

桜やツツジの名所として有名ですが、秋には紅葉も

桜やツツジの名所として有名ですが、秋には紅葉も

海の反対側に望む石巻の中心部。復興の様子もわかる

海の反対側に望む石巻の中心部。復興の様子もわかる

日和山公園へのアクセス

石巻市「日和山公園」

※石巻駅から日和山までは、土日祝日に1日4便(2017年3月21日まで)運行の500円で利用できる「まちなか周遊号」(乗り合いジャンボタクシー)が便利です!

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