和食料理には欠かせない醤油。
皆さんは醤油がどのように作られているのか知っていますか?
また、スーパーには売っていない、お醤油屋さんでしか手に入れられない醤油を味わったことがありますか?
私は今までスーパーに買い物に行っても、特にこだわりもなく、値札だけを見てカゴに入れていました。料理に使った時の味の違いも気にしたことがなかったんです。
そんな私が先日、初めて『金華山醸造』というお醤油屋さんに行く機会がありました。
場所は宮城県石巻市の万石町にあるお店です。
万石町はその名の通り、かつては海だった美しい湖の万石浦が見える町です。
金華山醸造は、明治時代の1902年から続いている歴史あるお店です。
お店の戸を開けると、かりゆしウェアの似合う、お店を担当している當眞さんが出迎えてくれました。
店内を見渡すと、醤油の他にもみりんや味つゆ、お酒、味噌などの商品が並んでいます。
丸いテーブルや椅子が置いてあり、馴染みやすい雰囲気のあるお店です。
椅子に座って當眞さんと談笑しながら、醤油のことについてお話を伺いました。
私自身なにも知らないので、今回とてもいい勉強になりました。
宮城県には36店舗の醤油・味噌のお店がありますが、地域によって味が違うそうです。
海よりの醤油は味がしょっぱく、内陸はお米に合った味なのだそう。
こう言われると海側と陸側の醤油を味比べしたくなってきますね!
味噌・醤油のお店で使われるロゴマーク(屋号)は六角形だったり、山の形やマルがついていたりしますが、実はこれにも意味があります。
六角形の文様はキッコー(亀甲)と呼ばれています。
そうです、あのキッコーマンとかのキッコーです。
全国の老舗醤油屋さんがキッコーを文様とする由来は諸説あるのですが、最初に使用したのは土佐藩のお抱えであった『キッコーショウ』柴沼醤油です。
土佐藩の城は、お堀が六角形の形をしていて、別名『亀城』と呼ばれていました。
そこで柴沼醤油は、土佐藩の印として亀甲紋を使用したそうです。
その後、『キッコーショウ』は味のいい醤油として江戸中の評判になり、大繁盛したそうです。そこで全国の醤油屋も『キッコーショウ』にあやかり、亀甲紋をこぞって使うようになりました。
また、マルは「正しい間違った商売をしない」、ヤマは「山のように盛り上がり、その頂点を極めたい」といった意味があるそうです。
身近にあった、あのマークが実はそんな意味があったなんて驚きですよね。
言われてみれば確かに六角形のロゴが多いな…と気づきました。
今回お話を聞いた『金華山醸造』の屋号もキッコーです。
創業当時(明治35年頃)は高砂商店という名称で経営していたため、マークの内側には『高砂』と書いてあります。平成17年に法人化により、社名を『金華山醸造』にした後も、創業当時のまま“変わらない味”を提供しようという思いが強くあるそうです。創業当時からの高砂マークは、そんな思いを代々受け継いでいる。そんな感じがしました。
どうして金華山ではないのに、名前が金華山なんだろうと思い尋ねてみると、地産地消を進める上で、金華山の御本殿御祭神の金山毘古神と金山賣神の大神様は金をつかさどる神様で商売繁盛、開運 招福を願い命名したそうです。
毎日のように使っている醤油ですが、皆さんはどのように作られているのか知っていますか?
私もお話を聞くまでは無知でしたが、これを読んで下さっているあなたにも是非知っていただきたいです。
まず、醤油の作り方には三種類あります。
江戸時代から続くシンプルな造りの「本醸造」、諸味にアミノ酸液を加えて醸造し馴染ませる「混合醸造」、絞った醤油にアミノ酸液を加える「混合」があります。
皆さんが使用している醤油はどの製法なのでしょうか?
ラベルに表記されているのでぜひ見てみて下さいね。
本醸造は江戸時代から続く製法で、材料も大豆、小麦、食塩と少ないです。
三つだけで醤油ができるなんて驚きです。
ちなみに醤油の色が黒いのは小麦のおかげらしく、小麦を抜くとみりんの様な色になるんだとか!
では、作り方を見ていきましょう。
①原料処理
原材料の大豆を蒸して、小麦を炒める。
熱を加えるのは殺菌するためです。
②麹づくり
蒸した大豆と炒った小麦に種麹を加える。
室(むろ)と呼ばれる高温多湿の密閉された空間で3日間ほどかけて作られ、適度に人が手入れをすることでよい麹が出来上がります。
麹づくりの目的は酵素を生み出すことで、この酵素が醤油づくりに欠かせません。
いい酵素のおかげで美味しい醤油ができるんですね。
③発酵・熟成
麹室から出たら塩水を混ぜて諸味にする。
混合醸造ではここでアミノ酸液を加えます。
高い塩分濃度によって雑菌から守り、醤油づくりに適した微生物が活動できる環境に整えます。
醤油づくりにおいて一番長い期間を過ごすのが諸味期間です。
見た目は水分の多い味噌のような状態ですが、時間が経つと大豆や小麦は溶けていき、色が濃くなっていきます。
なんとこの発酵・熟成の期間は半年から3年もかかるのだそう。
その期間はずっと放置しておくのではなく、攪拌(かくはん)というかき混ぜる作業を定期的に行います。
④圧搾
熟した諸味から醤油を搾り出す作業が圧搾です。
混合と呼ばれる製法ではここでアミノ酸液を加えます。
風呂敷に諸味を注いで座布団上に重ねてから上から圧力をかけます。
⑤火入れ
搾った生揚醤油に80~85℃の熱を加えて、10分~30分維持しその後冷却します。
火入れの目的は微生物の殺菌、色沢を整える、香気の付与、火入れオリ(沈殿物)の生成です。沈殿物はろ過の工程で取り除きます。
その後用途に応じた容器に入れられ、スーパーなどのお店に届けられます。
私は醤油を作るのに三年もかかるとは思っておらず、一日くらいでできるものだと知る前までは思っていました。。。舐めていました、ごめんなさい。。。
金華山醸造の醤油は昔から変わらない味を今も提供しています。そんな変わらない味は、親子3代で使い続けたり、鯨料理にはこの醤油!と根強いファンが沢山います。鯨を調理するために、金華山醸造の醤油だとしっかりと味が染みて、他の醤油を使えなくなるようです。
今後は「燻製こんぶ醤油」の販売を考えていて、他にも無添加など体に優しい商品づくりをしていきます。
昔から変わらぬ味の金華山醸造の醤油を皆さんもぜひ味わってみませんか?
もし、通販がよければ、下のバナーからお試しください。
↑金華山醸造のスタッフの皆さん
醤油とは関係ないのですが…
帰り際に店内の冷蔵庫をのぞいてみると、金華サイダーが売っていたので気になって買ってみました。
昔は“金華山サイダー”として販売していましたが、現在は『金華サイダー』として販売しているそうです。
シークワーサー味なので、市販のサイダーとは違ってスッキリした味がします。
昔販売していたサイダーの味を再現し、瓶も現在の規格に直して販売しています。
とてもおいしいので気になった方は飲んでみてください!
販売している場所は、金貨山醸造はもちろん、元気いちば、石巻市役所一階の物産店など、多くの場所で並んでいます。自動販売機で購入するよりお手軽ではありませんが、昔懐かしさを思い出す一瓶です。
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