「サイクルトレイン牡鹿」で走ってみた

公開日:2018/08/02 最終更新日:2021/02/26
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「サイクルトレイン牡鹿」で出かけよう!
2018年7月29日、宮城県初のサイクルトレインが、往路JR仙台駅から女川駅、復路石巻駅から仙台駅まで往復しました。
全ての人にとって新しかったサイクルトレイン。
「サイクルトレイン牡鹿」の説明とともに、当日の様子を紹介したいと思います。

 


「サイクルトレイン」とは
自転車を「日常の状態」で乗せることができる列車です。
写真のようなロードバイクなどの自転車に乗っている人が、普段列車に自転車を乗せる場合は、前後輪を外して全長を短くし、自転車専用の袋に入れて乗車します。
サイクルトレインではそういった手間が一切不要で、改札、ホームを自転車とともに通過し、今回は自転車を3点で吊るすような状態で人とともに乗車しました。
写真は2両にわたって、27台のロードバイクが連なっている様子です。

 


「牡鹿」とは
宮城県石巻市に位置し、三陸リアス式海岸部の最南端に位置する半島の名称です。
牡鹿半島の付け根にあたる部分は、石巻市だけではなく女川町とも接しています。
半島の先には金華山と呼ばれる奥州三大霊場が存在し、古くから地域の信仰の対象です。
また、金華山沖には黒潮・親潮の海流が交じり合う豊かな漁場がひろがり、世界三大漁場に位置付けられています。
半島には大小様々な入江が存在し、そこでは、浜ごとに豊かな暮らしを営んでいます。

 


「サイクルトレイン牡鹿」に乗って浜をめぐる旅に出る
東北一の都市である仙台と、豊かな三陸漁場をもつ牡鹿半島をつなぐ列車です。
その一番の魅力は、直線距離、全長約20kmの豊かな半島の自然を巡るお手伝いが出来ることと言えるでしょう。
牡鹿半島は半(分)島であり、交通の便が限られており、気軽に訪れるのはなかなか難しい地域です。
自転車に乗ることで、徒歩では移動できない距離を移動し、「風」「音」「香り」「時間」を身体で感じることが出来ます。
サイクリングで自然に身を浸しながら、牡鹿半島にあるそれぞれの集落「浜」での営みをゆっくり味わうのが醍醐味かもしれません。
今回は日曜日で車通りも少なく、女川から牡鹿半島の尾根を走る道路「コバルトライン」を走った時は気持ちが良かったですが、なにより湿り気を帯びた緑陰の緑の香りに包まれたのは最高のひとときでした。

 


「牡鹿半島ぐるっとライド OSHI 1(オシイチ)」
今回のライドコースは距離70km、獲得標高1290mの中・上級者向けで、牡鹿半島の尾根を縦断する風光明媚な「コバルトライン」、360度の眺望が楽しめる「御番所公園」、リアス式海岸特有の変化に富んだ海岸線沿いにある「月の浦展望台」などを楽しむ企画として開催されました。
当日7/29(金)、走行したコースはこちらです。

今回は、グループライドでの走行でした。
参加者27名を4つのグループに分け、地元のサイクルチームである「じょうぼんズ」のメンバーが、各グループの先頭と後尾にガイドライダーとして伴走しました。
団体専用臨時列車ということもあり、復路石巻駅発14:55の列車に遅れないよう、時間内での走行が求められましたが、運営スタッフ・ガイドライダーの適切な運営管理により、結果として皆さん無事に石巻へ戻ってくることが出来ました。

ここからは、当日の様子・コースについて詳しく紹介していきます。

 


スタート地点である仙台駅から女川駅へ移動します。
発車案内板には「サイクルトレイン石巻」の文字が掲げられていました。
ホームで自転車とともに並んでいる様子は、非日常的ですが、サイクルトレインが来る!という臨場感に溢れていました。
参加者は、いつでも自転車に乗れるような状態で列車に乗り込みました。
緑のビブスを着ているのは、企画スタッフ、JRの職員の方々で、JRの方は前日の自転車を乗せるための準備から、当日の構内案内、自転車の設置、運営を担っていました。

 


積み込んだ車内の様子はまさにサイクルトレイン、女川へ向かう車窓の風景と自転車、という非日常的な組み合わせ。
特別列車の運行上、途中で停車した石巻駅では、補給食の最後の買い出しをしつつ、グループライドのA〜Dチームごとにコースの説明を受けました。
9時3分に到着した出発地点である女川駅では、伝統の獅子舞の出迎え、地元産品である「笹かまぼこ」が振る舞われました。
参加者は、グループごとに自己紹介をし、「曇り空だけど、雨ではないね」などと言いながら、チーム毎に出発していきました。
約70kmの道のりのスタートです。
遠くは東京、神奈川、群馬、福島、岩手から参加されている方もいました。

 


前半線は霧のなかとも言える中をみんなで進んで行きました。
特に、女川駅を出発して最初にヒルクライムと呼ばれる約6kmの登りが続いていきます。
辛かったです(笑)。
それを登りきったところで最初のチェックポイント。
ここでは、参加者の体調、グループ毎のペースなどの確認がおこなわれました。
全70kmのなか、こうしたチェックポイントが4箇所ほど設けられ、時間内で回りきれるようにコースの編成をその場で組立て運営されていました。

 


グループライドのため、参加者同士が適切な走行が出来るように、先頭のガイドライダーが手信号を使って後ろの人へ「ペース落として」「止まれ」「障害物あるよ」など指示していきます。
また、後ろの人は「車来ます」、というように声をかけながら進んでいきました。
10km地点を過ぎたあたりから、段々と霧が晴れ、綺麗な晴れ間が迎え始めてくれました。
雨上がりの空と海は、様々な青い色を見せてくれていました。
綺麗でした。
最初のチェックポイント以降のコースは、基本的には下り基調のため、参加者(私)のみなさんの顔も晴れていきます。

 


目的地の一つである、約33km地点の御番所公園はあいにくの曇り空でしたが、目を凝らしてみると…対岸には金華山が見えています(私の参加した最後尾のグループDは、時間の制限から約26km地点からでショートカットのコースを利用し、御番所公園からの景色を拝まず、約32.5km地点の鮎川浜に到着しました(※)。
御番所公園から海岸線を通る道へ降りていき、鮎川浜、十八成浜、小積浜、大原浜、など各浜へ降りつつ、登りつつ、牡鹿半島の地形を体感しながら進んでいきます。
約48km地点にある荻浜の「はまさいさい」で昼食休憩です。
そこから石巻までは1つのチェックポイントを経て、自動車に気をつけながら平坦な市街地を、牡鹿の起伏に富んだ道の面白さを思い出しながら抜けていきます。
着いた先の石巻駅では、多くの関係者が出迎えてくれ、名物の「くるみゆべし」を頂きました。
スタートの「笹かまぼこ」に続き、疲れた身体で美味しく頂いたため、写真を撮り忘れました。
(組写真提供:(一社)石巻観光推進機構)
※尾根道のコバルトラインにはDグループが通過した経路を含めて途中で3箇所、浜に降りる道が存在しています。
そのため、運営としては進捗状況によってはより手前でのショートカット経路も念頭においていたそうです。

 


ガイドライダーをつとめたじょうぼんズのみなさまとは石巻でお別れ。
1チームごとに2名、計8名および運営管理11名、合計19名で今回の旅を楽しい時間にしてくれました。
お見送りには石巻のゆるキャラである「いしぴょん」も来てくれました。
そして、帰るまでが遠足です、というサイクルトレイン牡鹿に全員が無事乗車できました。
朝7:10発列車に乗り込み、女川駅を9:10頃出発、昼食処を12:40頃出発し、石巻駅を14:50頃出発、仙台駅に16:20頃みんなで無事帰着しました。
自転車とともに、改札を抜けていきました。

最後に
今回は、短い時間のなかで自然のなかを「走る」ことに特化し、浜ごとの高低差や高いところから眺める眺望を楽しんできました。
一方で、牡鹿半島の魅力はその地形と密着した浜ごとの風景のなかにあると感じます。
こうした列車が日常的に走るようになれば、ゆるやかな浜めぐりも可能になりそうだな、と改めて感じました。
今回参加できなかった方もぜひ足を運んで、牡鹿半島の風土である人・自然・食を味わっていただけたら、一牡鹿のファンとして大変嬉しく思う「サイクルトレイン牡鹿」での体験でした。

文章・写真(断りのないもの以外)
・風景屋 ELTAS 小林 徹平

「最後に、牡鹿でのサイクリングを楽しむ方へ」
牡鹿半島の集落「浜」は、2011年の東日本大震災で被災した地域です。
そのため、現在でも、平日および土曜日は復興事業を進める工事用車両が通行しています。
ご自身で牡鹿半島を巡る際は、車両に十二分に気をつけてご走行下さい。
また、今回の女川からコバルトライン経由での鮎川浜までのライドコースには、飲食できる場所はございません。
もし同じルートを走行する際は、くれぐれも補給食、飲料水を忘れずに、安全運転で地域を楽しみながらライドしていただけると幸いです。

企画・運営・協力:
・(一社)石巻圏観光推進機構
・JR東日本 仙台支社
・(株)びゅうトラベルサービス東北支店(東北営業センター)
・そらうみサイクリングLLP
・女川町観光協会
・「食彩・感動」いしのまき観光推進協議会
・地元サイクリスト じょうぼんズの皆様

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